障害の有無に関わらず、誰もが一緒に映画を楽しむことができるよう、日本で唯一のユニバーサルシアターを運営しています。
アピールポイント
当館ができたことで、街の人々が障害者との関わりに慣れ、学び、交流するきっかけとなったほか、地域商店街が障害者の積極的な受け入れ態勢を整えるようになるなど、地域全体のユニバーサルな環境づくりにもつながっています。
取組の概要
(1)常設のユニバーサルシアターの運営
2016年に日本初の常設ユニバーサルシアターを開館し、年間300日、年間70本程度の映画を上映しています。視覚障害者や聴覚障害者でも楽しめるよう、音声ガイドや日本語字幕を独自に製作しているほか、館内は車椅子でも見やすいよう配席を工夫し、親子で鑑賞できる個室スペースを設けるなど、どなたでも居心地よく過ごせる空間作りをしています。
(2)映画の音声ガイド製作者を育成するワークショップの開催
音声ガイドの製作者を育成するためのワークショップを年間4回程度開催しています。音声ガイドは視覚障害者の立場に立って作成しており、実際に作成の過程で視覚障害者がモニターチェックをしています。
(3)地域の上映会のユニバーサル化への協力
運営母体は、2001年から視覚障害者の映画鑑賞をサポートしてきたボランティア団体であり、ユニバーサルシアターの運営に留まらず、地域の上映会のユニバーサル化についても積極的に協力しています。
「心のバリアフリー」実践のための3つのステップ
(1)社会のバリアに気づく
当館を訪れるお客様に社会にあるバリアを自然に知っていただく機会となっています。また、どのようなことがバリアになるのか、どのような対応をすればよいのかについて、商店街の会合で話をすることにより、地域全体が社会のバリアを考えるようになりました。
(2)コミュニケーションをとる
スタッフは来館者に対し積極的に声をかけ、どのようなサポートが必要なのかを確認するようにしており、来館者からはスタッフが話しやすいとの評価を受けています。聴覚障害者に対しては筆談での対応がメインとなっていますが、今後は手話の習得も目指しています。
(3)適切な配慮を行う
障害のあるお客様が鑑賞の合間などに商店街で食事をする際、どんな風に案内をしてほしいかを、お客様自身やスタッフがお店の方に伝え続けた結果、商店街全体が対応に慣れ、積極的に配慮するようになりました。
福祉のまちづくり推進協議会委員の講評
だれもが一緒に映画を楽しむための設備の充実のみならず、地元商店街への積極的な働きかけにより地域全体のユニバーサルな環境づくりに貢献しています。今後、他の地域や同業他社等へ取組が広がっていくことを期待します。