アピールポイント
“誰ひとり取り残さない”共生社会の実現に向け、障がいの有無に限らず、ご年配の方、乳幼児連れ、外国人等どなたにも心地よくお過ごし頂ける空間づくりに努めています。また、資格取得等自己研鑽に励む従業員には費用援助や相応の評価を行う等、人材育成にも注力しています。
取組の概要
(1) 継続的な社内研修実施と障がいのある従業員の活躍
当事者の不便さを体験し適切なサポートを学ぶ「介助サポート力向上セミナー」を2007年より東京・大阪の事業所で開催し、累計約700名の従業員が受講。そこで習得したノウハウは障がいのある賓客受入れ時にも活かされました。また、聴覚障がいのある従業員が講師となり接客に役立つ基礎手話の研修動画を自主制作した際は、社内の士気や当事者のモチベーション向上にも繋がりました。
(2) 国籍にかかわらず個を尊重した文化、宗教、信条への配慮
館内の案内やメニューの外国語表記、イスラム教のお客様用礼拝マット等、従来のニーズへの対応に加え、2022年度からは「食の多様性」をテーマにメニューを拡充。ヴィーガンメニューを商品化する等、国籍に関わらずさまざまな食文化や信条をお持ちの方に配慮すると同時に、同メニューを従業員食堂でも試験提供しながら多様な食文化への社内理解促進にも努めています。
(3)実践的な語学力向上のための全社横断的取組
2022年度より保有語学資格やTOEICスコアに応じ人事評価に加点する制度を設け、語学力の底上げを図っています。また、2023年度は英会話スクール通学等の補助を行った他、外国人研修生とのコミュニケーションを通して効果的な学習方法、ならびに異文化理解を深めました。これらの取組により、回復傾向の訪日客へのより踏み込んだ接客を目指しています。
「心のバリアフリー」実践のための3ステップ
(1)障害の社会モデルの視点でバリアを理解する
ご家族向け夏休み企画「帝国ホテルでSDGsを学ぶ宿泊プラン」ではバリアフリールームの使い勝手を車いすで体験して頂きました。ご利用客からは「設備に加え、心で寄り添うことが合わさってこそのバリアフリーだと感じた」等の感想が寄せられました。
(2)コミュニケーションをとる
聴覚障がいのある従業員による手話研修動画を社内配信した際、当事者の従業員らから「手話で挨拶をしてもらえるようになって嬉しい」「孤立感がなくなった」等の声が上がりました。接客に役立つコンテンツの制作が障がい者自身のモチベーション向上に繋がる機会にもなりました。
(3)適切な配慮を行う
社内「サステナビリティ推進委員会」において「障がい者雇用」をダイバーシティ推進における重点課題の一つとし、法定を上回る雇用率を維持しています。また、配属先所属長向け研修の実施や社内研修での手話通訳手配など、個人の特性に応じた合理的配慮にも努めています。
福祉のまちづくり推進協議会委員の講評
継続的な研修実施や手話動画の配信等多様な従業員が活躍できる職場環境整備、国籍や多様な食文化に配慮したサービス提供に取り組んでいます。多様な利用客とのコミュニケーションを重視した、ハード・ソフト両面からバリアのない宿泊環境の構築に期待します。